神奈川県において野生のアジサイは海岸のガクアジサイと明るい林下のヤマアジサイの2種がある。 ガクアジサイは海岸の中でも岩場・傾斜地や林が有る限られた狭い範囲にのみ分布するが、湯河原町・真鶴町では市街地の中にもガクアジサイと交雑種が見られる。また、自生地・個体数共に伊豆半島よりきわめて少なく、小田原市以西に花色の濃い装飾花が見られる。三浦半島では房総半島と似て、淡い青色の装飾花が一般的と思われるが、一部の地域ではより濃い色で装飾花が多い個体が多くみられる。これまで神奈川県西部で3株のテマリ咲きを見ている。これは少ない個体数の中で異常と思える多さであることから、園芸種の影響を受けている可能性がある。 ヤマアジサイは明るく湿気のある林や沢沿いに分布、神奈川県内では広い範囲に自生している。 箱根町周辺ではヤマアジサイの中に変異のある2種類が知られ、それぞれホソバコガク・イワガクと呼ばれている。また、神奈川県西部の狭い範囲と三浦半島で、ヤマアジサイに混ざり白または青色の花を持ち花と葉が大きいアジサイが見られた。ヤマアジサイ・ホソバコガクと同じ場所で見られ、ガクアジサイ又は園芸種との交雑種と思われる。特に市街地に近い場所では装飾花が多い、又は花色が濃い個体が見られることで、園芸種の関わりが考えられる。特に三浦半島ではミウラアジサイと呼ばれる例がある。 箱根町や真鶴町・湯河原町では数十年前に園芸種を始めガクアジサイ・交雑種を道沿いに植栽した痕跡が残る。伊豆諸島産のガクアジサイに似た株、淡い青の装飾花と青色の両性花を持つ交雑種などは何ヶ所もの場所で見ている。これらのアジサイが現在の植生にどれだけ影響を与えているのだろう。 |
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はじめに
分布と特徴
ホソバコガクとアマギアマチャ
保護
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ヤマアジサイ ごく薄いピンクの装飾花 |
ヤマアジサイ ナデシコ咲き |
ヤマアジサイ 装飾花が多い(多花) |
ヤマアジサイ ナデシコ咲き、幅広弁 |
ヤマアジサイ 普通の花 |
ホソバコガク 春に草刈りで刈られる |
ホソバコガク 普通の花 |
ホソバコガク 普通の花 |
ホソバコガク(中間型) 細弁 |
ホソバコガク(中間型) 小型の花 |
イワガク(?) 小型の株から開花 |
イワガク 左が普通花、右は極小型の装飾花 |
イワガク 普通の花 |
交雑種 白花ナデシコ咲き、ガク大きい |
交雑種 小型の花 |
交雑種 両性花青、ガクごく薄い青 |
交雑種 ごく薄い青、ナデシコ咲き |
交雑種 一般的な花色 |
交雑種 淡い青、両性花青 |
交雑種 ピンク、両性花濃い青紫 |
ガクアジサイ 伊豆の花色に近い |
ガクアジサイ 磯釣り場に自生していた |
ガクアジサイ 磯の岩場に多く自生 |
ガクアジサイ この株の周囲にピンクが多い |
ガクアジサイ |
ガクアジサイ |
ガクアジサイ |
ガクアジサイ |
ヤマアジサイ |
ヤマアジサイ |
交雑種 |
交雑種 |
ガクアジサイ |
ガクアジサイ |
ガクアジサイ |
ガクアジサイ |
ヤマアジサイ |
イワガク |
ホソバコガク |
ホソバコガク |
ホソバコガク |
交雑種とホソバコガク |
交雑種 |
交雑種 |
ガクアジサイ |
ガクアジサイ |
ガクアジサイ |
ガクアジサイ |
小さな漁港に沿った崖の中腹で、ガクアジサイのテマリ咲きが一株だけ咲いていた。人の手の届かない高さに生えているので野生のテマリ咲きのように見えるが、狭い範囲の群落の中なのでその可能性は低い場所だ。ここでは他の地域より庭にアジサイが多いので、誰かが園芸種を植えた可能性もある。 他の二種は同じ海岸で見られた。その周囲には半テマリ咲きが多く、葉の外観も異質なので園芸種の影響を受けているのかもしれない。 |
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青紫色の完全なテマリ咲き |
左のアジサイの自生地:港のすぐ北側の崖 |
テマリ咲き |
左と同株:手が届かない高さの崖の中腹 |
ごく淡い青色のテマリ咲き |
左と同株:崖の上で咲いていた |
三浦半島の一部地域に装飾花が大きく、半テマリ咲きの多い場所があります。色も他より濃い花がみられ、遠くからでも目立つアジサイ群です。 | |
箱根町芦ノ湖において野生のヤマアジサイの中に一株ではあるが、ファイトプラズマに感染した緑花に似た個体を見つけた。この病気のアジサイは治ることがなく、また感染するので地域全体のアジサイが全滅するおそれもある。 結果:アジサイの第一人者である日本アジサイ協会の杉本さんに問い合わせたところ、開花初期は緑色で開花が進むにつれ白花に変わるヤマアジサイだろうとのお話でした。 この地ではアジサイが観光の目玉となっており、開花時期には大勢の人々が訪れている。線路沿いや某公園等でファイトプラズマが見つかっているので、将来は野生のアジサイにまで感染する恐れも大きい。病気の株を全て抜き取らない限り、野生のアジサイへの影響は避けられないだろう。 不思議なことにファイトプラズマと同じ症状(花の葉化、葉が赤や黄色に変色など)であっても、ファイトプラズマ細菌が検出されない例がでている。検出されなくても同じ症状が出る以上、なんらかの細菌が病気を起こしているのだろう。ファイトプラズマ同様に感染し、治らなく、枯れてしまう病気であるならば、病原菌を特定し対策をとらないと周囲のアジサイが全滅するだろう。 |
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咲き始めが緑色のヤマアジサイ |
自生地の写真 伊豆半島のアジサイ |
自生地の写真 城ヶ崎海岸のガクアジサイ |
伊豆高原花の公園 アジサイコレクション |
あじさいの故郷 八幡野とアジサイ |
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